最後の夏
灼熱の夏・・・勝るとも劣らない熱闘甲子園!
この国民的夏の風物詩は、今年100回の記念大会だ。
この歴史的大舞台に勝利の女神は、粋な好カードを用意した。
史上初2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭(北大阪代表)。
言わずもがなの野球の名門校だ。
対する決戦の相手は、秋田代表の金足農業高校。
甲子園では珍しい公立の農業高校でありながら、
予想を上回る快進撃を続け、
ついに春夏通して初の東北勢優勝を期待される。
部員は全員、県内の出身だと言う。
両校とも勝てば「初の偉業達成」が実現するというプレッシャー。
野球を愛し甲子園を目指し、青春の多くの時間を練習に明け暮れてきたであろう
球児たちの熱き想いは両校引けを取ることはないはずだ。
が、言わば野球エリート校ともいえる名門大阪桐蔭と、部活として地元に根差した
公立金足農業、くしくも全くカラーの異なる高校の対戦となったのだ。
どちらを応援するかは人それぞれ。
しかしながら立ちはだかる名門校に、部員一丸となって果敢に挑もうとする公立金足農高の野球部に古き懐かしい甲子園を思い出し、肩入れした方も多いのではないだろうか。
私もその一人である。
結果は、13対2で大阪桐蔭が圧巻の強さを見せつけた。
100回記念大会での春夏連覇は、紛れもない実力の現れだろう。
この試合を通じて、私たちは実にいろんなことをそれぞれ感じたと思う。
勝っても負けても、人を感動させるのは選手たちのそのスポーツへの姿勢なのだ。
地方大会から一人で投げ抜いてきた金足農高の吉田選手が試合中、仲間に吐いた
「もう投げられない」の初めての弱音。そして初の途中降板。
しかしながら、試合後には「悔しいままでは終われない」に変わっていた。
そう、人は辛い経験をその後、どんな風に自分の「糧」にできるか、
そのことに尽きるのだと改めて痛感させてもらった。
有難う、そして両校に心からの祝福を送りたい、それから、少しゆっくりして欲しい、
まるで身内になったかのようなこの夏・・・平成最後の夏を忘れない。